2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

カントにおける判断力

1、規定的判断力と反省的判断力 カントの言う「判断力」には二つある。一つは規定的判断力と呼ばれ『純粋理性批判』に見られるような悟性に仕える判断力のことである。これは既にアプリオリな形式としての普遍が与えられているので、ただ対象や行為をそれら…

ヘーゲルにおける堕罪論

1、はじめに 『旧約聖書』の「創世記」における有名な堕罪の伝説は悪の問題を扱っていると言える。ヘーゲルは、その堕罪の伝説に則りながら、しかしヘーゲル自身の新しい読みに変えて、悪の問題を説明していく。 ここでは、まず「創世記」における堕罪の伝説…

日本語における意味の限定の仕方の一例。全体的か部分的か。ー例文「数えられない物質」ー

例えば、「数えられない物質」と言うと、1)物質全般が数えられないもの(全体的)か、2)物質のなかにある数えられないもの(部分的)か、の二つの意味が考えられるとおもうが、この混同を避けて2)の意味に限定したい場合は「数えられないような物質」とすれ…

山口祐弘著『意識と無限ーヘーゲルの対決者たちー』(近代文藝社,1994)を読んで

山口祐弘著『意識と無限ーヘーゲルの対決者たちー』(近代文藝社,1994)からのまとめ。 ・カントの実践哲学における自由ないし自律の他律への転化(53-54頁) カントの実践哲学は、理性と感性との対立を前提とし、自由を感性的自然(必然性)からの離脱、道…